【報知提供】一度も大きく崩れていない荒尾聡「今回はやれば反応してくれる」

絶対的な優勝候補、青山周平の絶対的な優位は疑う余地なしだが、もしも、難攻不落なNo.1を力で打倒することが可能なレーサーが存在するならば、それは荒尾聡かもしれない。

今シリーズの荒尾は不気味だ。
ここまで激闘の５戦を１、２、１、３、２着でまとめ上げてきた。時に着順メイクを乱すことがある飯塚の総大将が、今節は一度も大きく崩れていない。

「はい、エンジンはいいと思いますよ。特に２日目からはすごくいい感じです。準決勝戦の試走（３秒３３）も自分が一番時計でしたしね」
荒尾が状態に手応えと自信を持ち切れない時は、「エンジンはようわからん。もう、あとは人間。人間で何とかしないと。レースは何があるかわからんし」みたいな、どこか抽象的な気合論でにごすことが少なくない。

しかし、仕上がった時の荒尾は包み隠すことなく「うん、いいよ！チャンスはあると思う」と言葉とフレーズが鮮明になってくる。昨年の全日本選抜を制した時も、「優勝？チャンスはありますよ」と自信をたぎらせて言い切ってみせた。
今回がまさにその時と似た雰囲気なのである。

ファイナル進出を果たした荒尾に「優勝がありそうな動きに映るんですけれど」と尋ねてみると、やはり期待通りの文言が戻ってきた。
「そうですね、前にＳＧを勝った時との比較はわかりませんが、今回は（調整を）やればちゃんと反応してくれるんですよね。準決勝は（伊藤）信夫さんを抜けませんでしたが、足は負けていなかった。タイヤも使える物があるからね」

彼は勝負師である。獲れる、獲れないの予感は間違いなく本人の中で理解している。最後の味付け、タイヤの選択、スタート、展開作り、気候の後押し。

まだまだこなさなければいけない任務、後押しが欲しいファクターはあるにはあるが、そのすべてを抱きかかえることができた時、２２年グランプリの勲章は飯塚の大エースがつかむことになる。