【報知提供】トライアル2位通過の鈴木圭一郎、優勝戦はあえて3枠を選択

川口

大みそか頂上決戦のタイトルを再び入手するためには、これからいくつかの難問ドリルを解かねばならない。
16年以来、2度目のスーパースター王座決定戦制覇へ、鈴木圭一郎が体と頭をフル稼働させて最後のテーブルセット準備をしている。

トライアル4回戦11Rでは宿敵である青山周平よりもずっと有利な3枠に番組された。
最大にして唯一といっていい最強ライバルは7枠。内の利を生かして先制すれば、次元の違う速力で後方へと追いやれるはずだった。

しかし、この期に及んで鈴木はスタートダッシュに失敗してしまう。
外から青山が先手を奪った時、彼は後方7番手に置かれてしまった。
道中で何とか末脚を駆使して、最後は4着まで順位を上げてみせたが、超強豪たちを相手にしては、そこまでが限界だった。

「う~ん、スタートは遅れちゃいましたね。エンジンはいいと思うんですが、消音マフラーなので足が付いてこないというか、追っていけませんでした」

そこで一つ目の悩ましいプロブレムが浮かぶ。

「このエンジン、逃げる分にはいいんです。前に行けば逃げ切れる足はあると思います。でも、優勝戦でもスタートを行けなかったら、追っていく足が必要になりますよね。
そこでもっとトルクを出したいんですが、このクランクは換えたくないんです。このクランクを使えば逃げることはできるはずなので。う~ん、エンジンを全部ばらしてトルクを出すしかないのかなあ...」

もしも、先手奪取がかなえば、今のパーツ組み合わせで十分な勝算はある。
が、クランクを交換して、差し足を求めると、前に行けた時に快速を発揮できる仕様には仕上がらないかもしれない。
クランクをキープして、レース足を得る。
この難しきテーマに鈴木は本番直前までがっつりと取り組むことになる。

そして、枠番選択である。トライアル1位通過は青山に譲った。
彼は間違いなく最インの1枠をノーシンキングで選ぶはずで、実際に白い勝負服を公開枠番選択会で手にした。
ここに、二つ目のシビアな思案が登場する。

「1枠があれば自分も選びます。新走路で1枠のところがすごく食いつくからです。でも、自分は2番目の選択なのでどの枠を選ぶか、です。
普通のマフラーならば、無条件に2枠なんですが、今回は消音マフラーですからね。消音には消音の瞬発力があって、それを最大限に生かすにはもっと外目の方がいい気がするんです。
何なら8枠のところは結構食いつくので、そこも考えますが、さすがに大外からインの青山さんの前に出るのは厳しい。う~ん...。最後までよく考えてみます」

そして、ファンの前で行われた選択会。想定通りに青山が真っ先に1枠を選んだ。その直後、鈴木は3枠を拾い上げた。
ファンの前では「今節の雰囲気で」と答えたが、さてその真意やいかに。
ロッカーへ戻ってきた鈴木は即答した。

「青山さんの隣はいやだったので!」と。

内の利を生かして先に1コーナーをカーブする青山のすぐ隣では同体で併走なら先を越されてしまう。ならば、もっと振り幅のあるひとつ外の3枠へ行って、加速重視でまくり切るように内の青山を飲み込む。
その可能性の方がより高いことを想定しての、レッド。

本番は5100メートル10周回のロングディスタンスで争われるが、なにげに勝負は最初の1コーナー、1周回目でスクラッチクジのごとく決してしまうのかもしれない。

さあ、鈴木はスタートを切れるのか。行けなかった時に備えて、破壊力あるレース足をも兼備することがきるのか。

まだ時間はある。

(淡路 哲雄)

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