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【報知提供】あえて1枠選択の鈴木圭一郎「スタートは切れているので楽しみ」
大会連覇と、自身のアレルギー克服。
このふたつのでっかい目標を同時に達成すべく、いよいよ鈴木圭一郎が最終日12Rの0メートルスタートラインへと登場する。準決勝戦11Rはおなじみの大逃走ショーを披露して、後続7車をはるかかなたまで追いやって先頭ゴールを決めた。
ところが、ロッカーへ帰還すると、彼の表情は会心のスマイルではなく、ひたすら苦笑いで覆われていた。
「いやあ、ものすご~く跳ねていました!スーパードドドです(あきれ笑いしながら)。あまりに跳ねるのでまったく全開にできませんでしたし、コースもメッチャ小さかったです。エンジンは悪くないんですよ。いいから逆に跳ねてしまうんだと思うんです。どうしようかなあ。ヘッドとクランクを換えようかなあ。でも、最近はいろいろやり過ぎて、結果が出てないしなあ。う~ん」
そう思案していると、同じ32期生たちが集まってきて、
「跳ねているのかもしれないけれどVTRの見た目はすごくいいよ。絶対にこのままで大丈夫だよ」
「跳ねても時計(3秒356)が出ているんだから、むしろこれぐらい小さいコースの方がいいんじゃないの?」
「このままでもスタートを行けば勝てるよ!」
などなど、多くの称賛と助言が飛び交っていた。
それを聞いた鈴木は「でもなあ、締めて10周走ってSGは勝てない。やっぱり何かやらないと...。少し冷静に頭を冷やして考えてみます。ボウズ頭なのですぐに頭も冷えるでしょうから(笑い)」
そして、整備メニューを決断する。
「今回はパーツは換えません。タイヤやセットで跳ねを取ってみせますよ!跳ねがなければ、もっと(威力も時計も)出ます。それぐらいエンジンはいいです。そのためにもまずは跳ね解消です。跳ねが取れないことには連覇とかも考えられませんからね!」
エンジンはよし、跳ねは己の英知を絞って本番までに終息させてみせる。あとは、そうスタートである。注目の枠番選択。
鈴木は一番権利を得て、真っ先に迷うことなく、1枠をチョイスした。普段は敬遠しがちな最インを自らの意思で選択した。
あれは、9月のプレミアムカップ準決勝戦だった。地元大会で彼は0メートルオープンの1枠に配された。しかし、スタートで大きく立ち遅れて優出を逃した(3着)。
レース前から「最インかあ。失敗すると包まれちゃうからいやなんですよね...」と不安を口にし続けていたが、その良くない予感は完璧にヒットしてしまった。
「あの失敗はいろいろと考えさせられましたね。そして、決めたんです。今度、枠番を選択する時は1枠を選ぼうと。これは、克服です。1枠を克服するために、絶対に1枠を取る。そう決めていたので、今回は1枠を楽しみたいです。仮に出遅れても、その時は追って、差して勝てばいいんです。焦らずに、びびらずに、楽しんで追い込んで1着すればいい。そのことを忘れていましたよ、自分は!」
跳ねる症状を根治させ、1枠アレルギーを克服したその先に、ダービー連覇の栄光は待っている。
「スタートは切れていますからね!1枠、楽しみですよ!」
すべてのレースと枠番選択が終わった真っ暗闇のロッカー外で、鈴木は自信に満ちあふれた表情でそう締めくくった。
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