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【報知提供】鈴木圭一郎シリーズ4勝目でも「いいところは今はない。ケースを変える」
オートレースは、課金制のオンラインゲームのようだ。とりあえず、ほぼ無料でもプレーできなくはない。
しかし、全国の腕に覚えあるゲーマーたちとハイスコアを競い合うならば、そこはチャリンチャリンと課金をして、ライバルたちを倒すための強力アイテムを買い揃えなければならない。
オートレース界はパーツ戦争でもある。与えられた600ccのエンジンに、各選手がそれぞれ、クランク、ケース、ヘッド、シリンダーなど高額な部品を買い改めて、ここ一番の場面で投入して、チューンナップをもくろむのである。
業界の超軍事大国といえば、やっぱり鈴木圭一郎だろう。今シリーズも初日を迎える前に、新品ケースをまずはマウントした。以降もヘッド、シリンダー、クランクとあらゆるパーツを取っ換え引っ換えして、性能アップ、不安点解消に尽力の限りを尽くした。
それでも、なぜかエンジンがうならない。噴いてくれない。
「それなのに、ずっと手前の足がないままなんです。いいエンジン音も出てくれません。フロントタイヤが逃げる症状も全然変わってくれません。いいところ?今はないですよ...」と来る日も、来る日も、ずっとトーンは湿りっぱなしだった。
それでも、改めてここまでの戦歴を振り返れば、5戦して4勝。誰よりもハイスコアを叩き出している。他の選手ならば、お手上げのバンザイをしてしまうところだが、パーツを換えて、換えて、また換えて、何とかその日の激戦に耐久し、しのいできた。
そして、準決勝戦12Rを制した後。鈴木は達観したように言った。
「ここまで換えてもだめということは、大会前に入れた新品のケースが良くなかったんでしょうね。だから、いい音が出ない。準決勝なんて道中を走っていて、後ろからいいエンジン音(2着した佐藤摩弥のマシン)が聞こえて来たんですよ。よっぽど、自分の音が小さくてだめなんでしょうね。いつもなら自分のエンジン音で気持ちよく走れるんですけれどね」
そこで、最終オペに入った。「ケースを換えます。ふたつの信頼できるケースを持っているので、そのどちらかに換えたい。これで変わってくれるといいんですけれどね」。
ここまで課金して、なおもこの窮地にふたつも必殺のケースパーツが備わっている。チェンジ王、おそるべし。
もちろん、彼はただの課金成金じゃない。このゲームをプレーさせたら無敵のウルトラテクニシャンでもある。難易度の高いプレーをこなせる男が、パーツ課金で最後の戦闘能力アップに全力投球している。
答えは、出るか。最高得点は、出るか。地元浜松のマイロッカーに貯蔵されるすべての武器を繰り出して、さあ、いざ戦え、ケーイチロー。
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