【報知提供】普段は慎重な姿勢を崩さない青山周平「自分が逃げる展開なら自信はある」

川口

トライアル3回戦の朝(29日)だった。彼は、静かにこうつぶやいた。

「去年よりいい。この大会は後ろからでは誰も抜けないし、前にいれば誰も抜かせない。それはどの選手にも一緒です。だから...。もしも、自分が逃げる展開なら、自信はあります」と。

例え、それが普通開催であっても、負けなしで優勝戦に挑む時であっても、彼の口から「自信がある」というフレーズは年間に何度も聞かない。

常に、慎重な姿勢を崩さず、「自信?あるわけないじゃないですかあ」とまるで己を自戒するように脇を甘く開けることはない。

そんな男が、早くもVを予感している。そして、その予感がいよいよ確信レベルにまで到達しようとしている。

トライアル3回戦。タフな外目の6枠から2番手発進を決めて、すぐさま先を行く鈴木宏和をパスして、そのまま3連勝ゴールを実現した。

今年95度目の1着は、21年に鈴木圭一郎が達成した「年間最多勝利記録」を一つ上回るメモリアルウインでもあった。

「記録を作れたことは自分だけの力じゃありません。周りのみなさんの助けがあって達成できました。本当に感謝!の言葉しかありませんね...。

今もレースが終わった後、みなさんの助けを借りて、下回り整備をしてメタルを交換しました。トライアル2回戦までの乗りやすさがなくなってしまったので。わがままな自分に付き合っていただき、整備をやりました」

そして、続けた。

「でも、エンジンは悪くないです。ポイント満点ですし、これ以上ありません。トライアル4回戦と最終日は同じ12Rなので、そこも自分には有利ですよね」

キングが万全ならば、誰が相手でも倒されない。それが例え、あの男であっても。鈴木圭一郎であっても。

完璧にテーブルセットが整った青山周平の前でゴールできる人物は、この業界にはひとりとして存在しない。

(淡路 哲雄)

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