【報知提供】鈴木圭一郎「スタートの切り方を変えてすぐのわりには切れている」

浜松

お盆時期に争われたオートレースグランプリ(伊勢崎)だった。

6日間のロングバトルに鈴木圭一郎は持てる体力、気力、知力とあらゆる精根を絞り、注ぎまくって、奮戦に直面した。

優勝戦は3着。真夏の頂上へたどり着くことはできなかったが、その後、ついに頑強を誇った体が悲鳴を上げた。長年の勤続により、ろっ骨を疲労骨折してしまった。

復帰したのは、10月5日の浜松記念曳馬野賞。蓄積された疲れと負傷箇所の加療のため、約1か月半もの間、戦列を離れることになった。

13年夏に選手生活を開始して以来、幸運にも彼は大きなケガや病とはほぼ無縁だったが、今回は長く現場を離れることになった。

その間にいろいろと思うところはあったと話す。

「まずは、体のことですよね。疲れがたまり切って骨折してしまいましたが、これからも自分は今までと同じように働き続けるつもりです。年齢を重ねても、自分はこれまでと一緒です。レース場へ来たら、自分のやり方でまたどんどん働きまくりますよ!」

彼は今月30日で29歳を迎える。同じ32期生でモタード界から転向してきた松本康は、現在44歳になった。年長者だからこそ知る加齢による体力の減退、身体へのダメージ。松本は同期の盟友へ先人として、フィジカル面の助言を伝えたという。

「圭一郎も人間ですからね。年を取っていけば、今までとは同じようにはなかなか動けなくなるし、体力だって落ちてきますよ。自分は圭一郎に長く働いてもらいたい。だから、できれば無理をしすぎることは控えてもらいたい。疲労骨折は美談じゃない。これからは体のこともいろいろと考えて仕事に向き合って欲しいんです」

思いやりある言葉を松本は送ったが、自己信念の塊である鈴木には、いろいろな意味で受け入れがたきフレーズだったのかもしれない。

「ヤッシーと自分は違いますからね。他の人ができなくても、自分ができないとは限りません。まあ、そうですね。これからはカルシウムを今までよりも多く摂取するぐらいですかね~」と絶対的タフネスぶりを笑顔で強調した。

肉体面とは他に、この休養期間で鈴木は大きな決断をし、実践していることがある。それは、スタートだ。

「この休んでいる間に一番考えていたことはスタートですね。家にいる時に速い選手のVTRを見たりして、いろいろと研究しまくりました。クラッチの握り方も変えてみました。それは大きな変化ですし、今すぐにマスターできるとは思っていません。たくさん練習して、本番でも続けて切って、いつか自分のものにしていくつもりです!」

日本選手権は、究極のスタート戦争である。すべての番組で、すべての者が0メートルオープンラインに並ぶ。あるいは、他のレーサーならば、今回のみは今まで自身が慣れ親しむスタートの切り方で、挑んでもよさそうなものである。

しかし、鈴木はそういう選択を好まない。前進、進歩、発展のためなら、現在を犠牲にしてでも将来を優先させていく。

「切り方を変えてすぐのわりには、結構切れていますからね!今回だって、将来のための練習だと思って切っています」

鈴木をスタート巧者と呼ぶ者は多くない。それは、別にスタートに深刻な課題があってのことじゃない。これまでも鈴木は業界有数のスタート力を備えている。

しかし、彼の武器はスタートだけじゃない。エンジン作り、独走力、さばき、勝負強さ。すべてのツールが超ウルトラスーパーだからこそ、スタートに特化した美辞で称えられていないだけである。

新装、モデルチェンジしたスタートの切り方が2023年ダービーでどんな結末と結果をNO.1に与えるのか。改良途上のスタートでどんなパフォーマンスが飛び出すか。そこも大いに注視したい。

(淡路 哲雄)

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